約束のネバーランド

約束のネバーランドのエマがうざいし嫌い?鬼を倒したくない発言が意味不明!

約束のネバーランドのエマがうざいし嫌い?鬼を倒したくない発言が意味不明!
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2020年に感動の最終回を迎えた漫画、約束のネバーランド。

主人公のエマは、週刊少年ジャンプの連載漫画では珍しい女主人公でありながら、持ち前の前向きさと意志の強さで仲間たちを導き、多くの登場人物を救いました。

しかし彼女の言動に対して、一部の読者から「うざい」「嫌い」「怖い」「サイコパス」といった非難の声が上がっています。

大ヒット作品の主人公でありながら、どうしてこのような意見が出るのでしょうか。このコラムでは、エマのプロフィールと性格について、分析を加えながら説明することにします。

約束のネバーランドのエマのプロフィール

生い立ち・特徴

エマはオレンジの短髪が印象的な明るい性格の女の子です。身長は145センチ。年齢は連載第一話の時点で11歳。連載終了時にはそれからおよそ二年の歳月が流れています。

彼女は食人鬼が支配する世界の中で、高級食用児を育てる農園、GF(グレイスフィールド)ハウスで育てられた食用児の一人です。首筋に刻印された識別番号は63194。
ハウスで実施されているテストではほぼ毎回のようにフルスコア(満点)を出していました。身体能力も、男子に負けないくらい優秀です。

全ての食用児を解放

連載第一話で自分たちが食人鬼(作中の通称は「鬼」)の食卓に並ぶ運命にあると知ったエマは、同じくフルスコアのノーマン、レイと協力して策を練り、出荷日の近い年齢の食用児たちを集めてハウスを脱出することに成功します。

その後、自分たちのいる世界が鬼と人間が『約束』を結んだ結果、二つに分裂した鬼側の世界であることを知ったエマは、他の食用児と共に『約束』を結び直し、人間たちの住む世界へ移住することを計画します。

他の農園から脱走した食用児たちとの出会い、風変わりな鬼たちとの交流、鬼社会の支配者たちとの戦いなど紆余曲折を経て、エマたちは約束を結び直し、人間側の世界へ移住することに成功するのでした。

エマがうざい・嫌い・ムカつくと言われる理由はなぜ?

切り捨てられない性格

読者がエマの行動や発言を非難する理由ですが、一貫して彼女が、目的を達成するために物事を切り捨てる決断をしないことが理由ではないかと思われます。

GFハウスからの脱出を企てていたとき、エマはハウスに住む食用児全員を連れて行くつもりでした。このことについて、一緒に脱出を計画していたレイは、乳幼児も混ざっている
食用児全てを脱出させるのは不可能だと反対し、子供は切り捨てるしかないと主張しました。

最終的に施設から脱出できたのは、食用児全員ではなく、外で生きていける下限と判断された5歳以上の子供たちだけでした。残りの食用児は施設に残されたのです。

ただし、4歳以下の子供たちは切り捨てられたわけではありません。ノーマンの意見を聞いた結果、エマは4歳以下の子供たちを残していってもすぐに食用にされてしまうおそれは少ないと判断したのです。食用にされる年齢は、だいたい6歳以上と決まっていたからでした。一度ハウスを抜け出した後、力を付けて子供たちが6歳になるまえに迎えに来る、とエマは決意していたのです。

とにかく犠牲を出したくない

とにかくエマは、目的を達成するために犠牲を払わなければならない状況を避けようとします。

少年漫画の主人公としてはとくにおかしくない主義主張のように思われますが、エマの場合、とくにこれが徹底していて、犠牲になる当人がそれを承知の上で命を投げ出すことさえ許しません。

頑固なエマの姿勢により、解決が遠回りになってしまう事態も何度か発生しています。
そのため、読者はエマが「余計なことをした」「うざい」といらいらさせられたのでしょう。

エマが鬼を倒したくないと言う発言が意味不明?

鬼も『犠牲』に入ってしまう

物語の中盤から後半にかけて、食用児たちの一大勢力を作り上げたノーマンが、鬼社会の実力者たちを互いに争わせ、その隙に付け込んで鬼を絶滅させようと計画していました。
世界から鬼がいなくなってしまえば、食用児が幸せに暮らすことのできる世界が訪れると考えたのです。

エマはこの計画に反対します。『約束』を結び直せば食用児たちは鬼のいない世界へ移動できるのだから、わざわざ鬼を絶滅させる必要はないと主張したのです。つまりエマの中で、鬼たちも犠牲にしたくない対象に含まれてしまったのです。

この、鬼を倒したくない、というエマの発言に対して、読者の何割かは意味不明だと感じたようです。

筋は通っている

ただ、それまでエマが辿ってきた道のりを振り返ると、エマの主張に筋が通っていないわけではありません。

エマたちはGFハウスを脱出した直後、流浪の生活を送っていた二人組の鬼、ソンジュとムジカに命を助けられました。また鬼の都市に進入した際、鬼の子供たちが平凡な毎日を暮らしている様を目にしました。

彼らと触れることで、鬼にも喜怒哀楽があり、大切な家族もいる人間と変わらない存在だと知ったエマは、たとえ人間を捕食する存在であっても、鬼を根絶やしにすることは間違っていると思うようになったのでした。

人間と家畜に置き換えてみると

つまり鬼を助けたいというエマの主張は意味不明なものではなく、意味はしっかり通っています。逆に、筋が通っているからこそ恐ろしいのです。

物語終盤で、エマは「鬼が人間を食べること自体は悪でもなんでもない」というような言葉を口にしています。理屈は通っていますが、これは恐ろしい発言です。

たとえば私たちが普段、家畜にしている牛や豚がいますが、彼らの何匹かが自分が食料にされるために育てられていると知り、牧場から脱出を決意したとします。

牛や豚たちの立場かすれば、「自分たちを食べるなんて酷い!」と人間を非難するのは当然のことでしょう。

反対に牛や豚が、「人間が僕たちを食べるのは仕方のないことだよね」と発言したら、そちらの方が恐ろしさを感じます。

エマの発言はそれと同じで、「理屈は理解できるが信条的には全く納得できない」言葉の
代表のようなものだと思います。

エマはサイコパスで怖い?

怒りや憎しみが理解できない?

エマの性格について、『サイコパス』だと表現する声も見られます。

最近は割合気軽に使われる言葉ですが、サイコパスとは、極端な冷酷さ・無慈悲・エゴイズム・感情の欠如・結果至上主義を兼ね備えた性格のことです。

作中のエマの言動と照らし合わせると、冷酷さ・無慈悲・エゴイズム・結果主義はどう考えても当てはまらないので、本来のサイコパスという言葉にふさわしくないのは確かです。
ただ感情の欠如には頷ける部分があります。

大抵のフィクションに登場するサイコパスは喜びや悲しみといった感情が欠如しているタイプですが、エマの場合、怒りや憎悪といった感情が完全に欠けているといえないまでも、かなり割合が薄いか、後回しにされているように思えます。

そのためよくあるタイプのサイコパスとは違う意味で、感情が欠落している部分が目立ってしまうため、サイコパスっぽい、という印象を与えてしまうのでしょう。

キャラクターとしての筋は通っている

物語終盤で、エマはこれまで食用児が犠牲になる仕組みを維持し続けていたピーター・ラートリーと対決します。

追いつめられたピーターに対し、エマは彼の所業を許し、一緒に生きて行こうと呼びかけました。

この発言に対して甘すぎる、寛大すぎて怖い、などと感想も見受けられましたが、エマのキャラクターがブレているという意見は見られませんでした。

エマを嫌っている読者でも、エマならこの場面でこう言うだろうな、と納得していたのです。

長期連載の中で、発言や行動にブレが見られない主人公というのはなかなかいるものではありません。
そういう意味でエマというキャラクターは、漫画史上に残る強烈な造形が施された主人公だと言えるでしょう。

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まとめ

  1. エマは目的達成のために犠牲を払いたくない信念の持ち主。そのため読者からウザいと思われることもある
  2. 鬼を助けたい、と思ったこと自体は筋が通った考え方。ただ割り切ったものの考え方が読者に違和感を与えている
  3. 正しい意味でのサイコパスではない。しかし恨みや憎しみの感情が薄いように見えるため、精神的に問題があるように受け止められてしまう
  4. 読者の好き嫌いは分かれるが、考え方にはっきりした筋が通っているキャラクター

アニメ第二期の他に、実写映画の上映や、海外ドラマの制作も決定している約束のネバーランド。

とくに実写化作品は独自の解釈が加わることも多いので、強烈な印象を与えるエマのキャラクターがどのように表現されるのか、今から楽しみです。

ゴマくん
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