2012年から半年にわたりキングダムのアニメ第1期、その後に続いて第2期が放送されました。
大好きな漫画のアニメ化ということで期待も大きかったのですが、実際にアニメを見てみると原作の良さが活かし切れず歯がゆくなるような場面がやたらと目につき少しがっかりしたというのが正直な感想です。
原作ファンの中にもそのように思われた方は少なからずいるのではないでしょうか。
私がなぜそのように感じたのかを、あくまで主観になりますが項目ごとに分けて説明していきたいと思います。
もくじ:好きなところに飛べます
『キングダム』の漫画とアニメの違い
アニメならではの良さである『動』が活かせていない
アニメならではの良さである『動』が活かせていないと感じた理由の1つには、アニメならではの良さが見受けられなかった点があります。
キングダムのアニメが放送されると知り、最も期待していたのは迫力ある戦闘シーンの再現でした。
動きや音で効果的に演出を入れることができるのがアニメの持つ良さだと考えています。
キングダムは漫画という動きの表現が限定されている紙媒体を通してでも、信の敵に果敢に立ち向かっていく勢いや羌瘣の人間離れした素早さや軽々とした身のこなし、蒙武の力強さや迫力は十分に伝わってきていました。
ところが、残念なことにそれらはアニメでは全く伝わってこなかったのです。
その原因と考えられるのが、CGによってアニメが作られていることによって人や物の動きが紙芝居のように静止して見える点だと思われます。
第1シリーズではそれらが顕著に見受けられました。たとえば、大人数による戦闘シーンで台詞を喋っている人物以外の人々が完全に静止していることや、武器がぶつかり合う音が鳴り響いているにも関わらずそういった動きが見られないため不自然さを感じました。
敵に攻撃され地面に倒れる場面では、一連の流れを映像で追うことができず気づいたら場面が切り替わっていたので、アニメというよりは切り貼りした絵を見ているような気分になりました。
登場人物に生き生きとした動きを付けられるのはアニメの醍醐味だと感じますし、キングダムの面白さは戦闘シーンにあると言っても過言ではありません。
名のある武将たちが命を懸けて戦う場面では、なぜ彼らが将軍の地位を得たのかを視覚で伝えられるような強さを表現する上で説得力のある動きや重厚感、スピード感が求められているように思います。
アニメならではの利点を活かし切れず、原作の良さを打ち消してしまっているところがアニメの残念な点であるように感じられました。
洗練されていない動きや映像は視聴者に古臭い印象を与えてしまうのではないでしょうか。
一度そういった違和感に気づいてしまうと物語の世界に没頭できず面白さが半減してしまうことになります。
ただ、第2シリーズでは戦闘シーンの映像に目に見えてハッキリと分かる改善が見られました。
カクカクとした不自然な動きや静止しがちな画面が少なくなり、不自然な動きも解消されて違和感なくアニメを見ることができるようになってきています。
第3シリーズでもそういった「動き」「魅せ方」の面で更なる改良が加えられ、アニメを心から楽しめるようになっていることを願います。
残酷な場面をカットした結果中途半端なクオリティに
2つ目はアニメにおいて原作を意図的にカットや変更された場面が悪目立ちしている点です。
言っている内容は概ね同じなのですが、言い回しが柔らかく変更されている場面もありました。
原作漫画を読んだことのない人であれば気にならないとは思いますが、読んだことのある人であれば特に戦闘シーンに違和感を覚えるのではないかと思われます。
武器を取って斬り合い、撃ち合いなどの殺し合いをすれば十中八九負傷して血を流すことがあるでしょう。
ところが、アニメでは血の流れるシーンなど過激と思われる場面はことごとくカットされ、攻撃を受けている場面でも叫び声や効果音だけが響き渡り、場面が変わると敵あるいは味方が地面に倒れています。
原作では首や身体が千切れ吹き飛ぶなど、臨場感のある激しい戦闘シーンが描かれていて、それらはキングダムの特色の1つと言えるでしょう。
実際の戦場では兵士達は戦いに敗れれば自らの命を失うばかりか、最悪の場合家族だけでなく祖国そのものも失ってしまう可能性もあるのです。
守るべきものがあるからこそ決死の覚悟で戦っているのに、不自然な演出のせいで彼らの覚悟や戦争の悲惨さが伝わりにくくなっている点が非常に残念です。
原作者も視覚的に面白く見せようとして、やみくもに残忍な場面を多用しているわけではないと思われます。
史実の上でも確認されているように、中華統一を巡って戦国時代には目まぐるしい覇権争いが起き多くの命が失われました。
原作を読むと主人公の信が仲間だけでなく自分と戦い死んでいった敵国の兵士の思いも背負い「天下の大将軍」になろうとする様子が伝わってきます。
命の重みを表現する手段として故意に残忍な場面を描いているのではないかと思います。
残忍な場面を省略することにより過激さは薄れるかもしれませんが、そのことによって作品自体の持つ重厚感が薄れてしまうのであればとても残念に思います。
ただ、キングダムのアニメは放送局がNHKであり、表現面において厳格な規制がかかっていることが予想されます。
今後も血が出る演出や過激な言い回しなどは変更が加えられることと思われますが、それらはやむを得ないことなのかもしれません。
限られた範囲でアニメを演出し、見た人が納得のいくものを作ることは非常に難しいことだと思います。
羌瘣登場シーンの大幅カットと宮廷における権力争い
1話25分という短い時間でおそらく放送回数も決まっている中で、ストーリーを効率良く進めていくためには原作を全てアニメ化するのは困難なことだと思います。
省略部分が出てしまうのも無理はありませんが、メインキャラクターであり特に原作読者からの人気が非常に高く、重要人物でもある羌瘣の登場シーンを大幅にカットしたのは果たして正解だったと言えるのでしょうか。
取り敢えずキングダム知らない人はこの羌瘣たんに入れた方がいいね。 https://t.co/AEDPpHThbh pic.twitter.com/pfBuvForBE
— 中野四葉(本人) (@tomocule081) April 2, 2020
抜群のスピードと剣術を備え、一人で大勢の敵を倒すことのできる羌瘣の強さは恐らくキングダム登場人物の中でも指折りの存在だと思われますし、可愛らしい女性であるというギャップも羌瘣の人気を高めています。
羌瘣というキャラクターは、蚩尤という一族の伝統に則り誰か一人が生き残るまで殺し合いを続けなければならない「祭」(サイ)という宿命を持って生まれた女性です。
羌瘣の姉妹同然に育った幼馴染は祭により命を落としてしまい、その命を奪った宿敵を撃つために敵の情報収集をしながら旅を続けています。
彼女は敵の情報を得るためなら手段を選ばず、時には秦国の歩兵として戦争に参加し、またある時は刺客として大王暗殺を引き受けました。
この大王暗殺場面がアニメではカットされているのですが、原作を読んだ時に秦国の歩兵として主人公の信と共に戦った羌瘣がその国の国王暗殺を引き受けたのだろうと疑問に思いました。
そこには敵討ちへの並々ならぬ思いがあり、また戦友である信に対しとどめを刺すことができず非情になりきえない羌瘣の姿がありました。
羌瘣という人物の人となりや自らの命を危険に晒してまでも復讐を果たそうとする強い決意などがこの大王暗殺場面で伺うことができます。
羌瘣について理解を深める上では欠かせない場面であったように思います。
また、この時の羌瘣と信の戦いが後の趙軍との戦いで、信が敵のスピードの秘密を見抜く大きな伏線となっています。
そして弟の反乱を鎮め大王として王座を奪還したにもかかわらず、内部の人間に命を狙われるという政の危うい立場を表現する上でもこの場面は重要だったように思います。
キングダムは国を守るため、あるいは武功を上げ大将軍になるための戦いや信をはじめとする飛信隊や後の将軍候補となることが予想される若い世代の成長ストーリーという部分が主な見どころとなっていますが、それらとは別に宮廷内で権力を巡る目に見えない抗争も大きな見どころだと感じています。
特に、呂氏派であった側近たちが国王の中華統一への思いや人格などに触れ徐々に国王派へと気持ちが移行していくところは非常に面白みのある部分です。
一連の流れをきちんとアニメ化するからこそ微妙な心情の変化やそれに伴う行動の意味を理解できると思います。
また、後に政の子を産む宮女・向と信はこの時初対面となりますが、後に秦が宮廷に出向き政と向の子を間一髪で暗殺の危機から救出する場面がありますが、この時アニメでは二人は初対面という設定に変更するのかが気になるところです。
そのように大幅な省略を加えてしまうと辻褄が合わない部分が後々出てくるので、ストーリーを改変せざるを得なくなるのは仕方のないことなのでしょうか。
アニメ第3シリーズとなる合従軍編は非常に長く省略は避けられないのかもしれませんが、登場人物のルーツや後の伏線回収につながる部分は極力省略しない方が良いのではないかと思います。
ストーリーの大筋はあくまでも原作に忠実に作られている
これまで原作ファンとしての視点からアニメを見て違和感を覚えた点を挙げてきましたが、アニメを通してキングダムを初めて見た人々からはキングダムのアニメは概ね高評価を得ているように感じます。
その理由はやはりよく練られたストーリーの面白さにあり、アニメの流れが原作に忠実に作られているからだと思います。
多くの方がご存じのように秦の始皇帝は実在しました。
ストーリーで掲げている「中華統一」という目標を史上初めて達成することのできた大人物なのです。
これだけ多くの登場人物を登場させているにもかかわらず、一人一人が独立した個性を持ちストーリーの中を生き生きと立ち回らせているのは作者の大きな手腕によるところが大きく、アニメにおいてもその流れは見事に引き継いでいるように感じます。
また、原作のアニメ化において原作にない場面が新たに追加されたりすることがありますが、キングダムの場合はそれがほとんどなく強いて挙げるならば王騎将軍から受け継いだ鉾の保管場所を示す描写ぐらいだと思います。
あくまで原作に沿ったストーリーを崩さずに見た人の想像を補う範囲での控えめと言っても良いぐらいの演出となっています。
キングダムのアニメにはテンポの良さがあり大幅に省略されてはいるものの、1話ごとにまとめられストーリーが追いやすくなっている面もあります。
キングダムのアニメは作品への入り口としてはすごく良いものとなっているように感じます。
アニメを見てキングダムに関心を持った人は原作を読むことでより詳細にストーリーを追うこともできますし、個性豊かな登場人物たちの新たな一面を知ることができるでしょう。
第1シリーズ、第2シリーズと回を重ねるごとに表情や動きなどの作画が改良されてきていますし、第3シリーズではこれまで以上に面白さの感じられるものを見ることができると思います。
第3シリーズとなる合従軍編は個人的にキングダム史上一番面白い戦いと言っても過言ではありません。
秦国滅亡の危機に全戦力を結集させて連合軍に立ち向かう雄姿をアニメで見られるのが今から楽しみです。
『キングダム』のアニメ&漫画を無料で見る&安く買う方法
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まとめ
以上、今回は『キングダム』のアニメと漫画の違いについてまとめてみました!
ストーリーの違いはほとんどありませんが、映像で再現する場合に生じる違和感が若干気になりますね。
しかし、徐々にアニメのクオリティも改善されつつあるので、3期のアニメにも期待しましょう!